ハノーファー医科大学での留学生活
グローバル補助金奨学生
石川大地
皆様、こんにちは。石川大地と申します。初めに少し自己紹介をさせていただきます。1985年生まれ徳島県徳島市出身でありまして千松小学校、城西中学校、城北高校、そして徳島大学医学部を2010年に卒業しました。その後は研修医として鳴門病院で2年研修し、徳島大学消化器移植外科で2年間社会人大学院生として働きながら博士号を取得いたしました。ドイツに1年半研究留学し、帰国後2年間大学病院消化器移植外科で臨床に従事し、そしてこの4月より県立中央病院外科にて勤務しております。まだまだ駆け出しの一般外科医であります。よろしくお願いします。
さて、ロータリークラブとのご縁は2015.9-2017.4にドイツ、ハノーバー医科大学に留学する際にグローバルグラントの奨学生として選出していただいたのが始まりであります。その折には徳島南ロータリークラブの阿部榮次様、当クラブの山野知偵様、また徳島ロータリークラブの佐藤充男様をはじめ、多くのクラブ員の皆様方にサポートしていただき念願の留学を達成することができました。改めて御礼申し上げます。今回は私の留学の話を少し紹介し、これを持って卓話とさせていただきます。
①留学生活
単身でドイツに渡り、ハノーファー医科大学の臨床生化学教室(Lenzen主任教授)研究を開始しました。私の前任者として山田眞一郎先生が1年間生活基盤等土台を築かれていたこともあり大変スムーズにNo stressで生活を始めることができました。 気候としては基本的に寒く、最低-10度程度でした。夏は一瞬で過ぎ去ってしまいます。ハノーファーは大都市でないため、日本人には滅多に会うことはありません。私は一人で自由に行動するのが好きなタイプなので全く問題ありませんでしたが、寂しいと感じる人も多いと思います。
②研究内容
元々は徳島大学で癌の分子生物学をメインに研究していましたが、ハノーファーでは発生学の基礎研究に従事しました。与えられた課題は「初期内胚葉形成におけるmicroRNAの果たす役割」についてです。これだけ全く伝わらないと思いますので簡単に説明します。
人間は元々1つの受精卵であり、これが胎生期に分化、分裂して各臓器を形成します。ある程度の分化の方向性や細胞の運命(どういった臓器になれるか)は途中で決められてしまいますが、胃や腸、肝臓、膵臓などに最終的になることができる細胞集団を内胚葉と呼びます。私の研究は元々の受精卵が分化、分裂し内胚葉を形成する過程でどういった分子(microRNA)がどう働いているのだろう、ということを明らかにすることが私の任務でした。
幸運なことに初めから良い研究結果がどんどん出まして、半年の時点でドイツ糖尿病学会で発表することができ最終的にはStem Cell ReportsというImpact factor 7点オーバーの雑誌に筆頭著者として掲載することができました。
自分がこのようなレベルの高い雑誌に載せられるとは全く思っておらず、非常に感激いたしました。
③プライベート
学生時代より趣味で競技ビリヤードをしており、ドイツは非常に盛んで環境も良かったため夜な夜なビリヤード場に足を運んでいました。ハノーバーのクラブ員として様々なリーグ戦やトーナメントの試合に出させてもらいチームの昇格にも貢献できました。また、単身で生活していたこともあり、日本語を話す機会もなくドイツ語漬けであったため語学力は飛躍的にupし大きな自信になりました。ドイツ語だけでなく英語の運用能力も自然と高くなっているように感じました。
今思い出しても夢のような1年6ヶ月であり、何ものにも変えがたい貴重な経験となりました。医師としての人生はまだまだ長いですが、留学の経験を日常臨床や研究に生貸せるよう日々精進して参りたいと存じます。
以上留学の話をさせていただきました。まだまだ若手で修行期間中でありますので皆様とお会いできる機会も限られてくるとは存じますが、四国学友会の一員として、私がしていただいたように奨学生の支援や各種奉仕活動に携わることができればと考えています。今後ともよろしくお願いいたします。