「分からない」は成長のチャンスだ(前編)
笹岡奨学生第一期生 宮浦晃希
笹岡奨学金の一期生としてドイツ・ゲッティンゲン大学農学研究科へ学位取得型の正規留学を行った宮浦です。2025年現在は飲食品などのデータを扱う都内の調査会社でマーケットリサーチの仕事をしております。今回の記事では、日本へ帰国してからの約1年半で、留学期間中に得た経験や学びが、現在どのように役に立っているのかを振り返ります。卒業論文や在学中のロータリーの詳しい活動などについては、こちらの記事(ロータリー四国学友会:学生の便り – 宮浦)をご覧ください。
統計ツールRを用いた、定量調査の基礎を実践的に学ぶ講義でのこと。どうしよう、先生が何を言っているのか全く分からないーー。周りのカチャカチャと進むタイピング音をよそに、私の頭の中は完全にフリーズしていました。ドイツで生活して半年が立とうとしていましたが、コロナ明けということもあり初めての対面での2週間の集中講義。コードをアクティブに書くライブでの講義に圧倒され、親しい友人も周りにいない状況で、とても孤独でした。「この授業を受けるのは、やめよう」。そんな思いもよぎりましたが、定量的に物事を捉えられるようになることが留学の一つの目標だった私は、ここは踏ん張りどころ、と自分に言い聞かせながら、学んだコードの一つひとつ意味と、そこから得られる結果の解釈方法を毎日復習しました。
「ここ理解できないから教えてほしいのだけど」。思い切って近くに座るクラスメイトやチューターに聞くと、快く教えてくれる。授業中は全てを分からないなりにも「この結果はこういう解釈の方法で合ってるの?」と発言すれば、そんなのも分からないのか、なんて表情はひとつも出さずに真摯に向き合ってくれました。授業の後には、レクチャーではこの単元は扱わなかったけど、こういうことだよ、なんて教えてくれる友人まででき、彼らのおかげで、学びを深めることができました。


